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2003年4月20日

パーフェクト・ブルー(宮部みゆき)


高校野球界のエース諸岡克彦が殺され、ガソリンをかけられて焼かれるという事件が起こった。その現場に居合わせたのは、克彦の弟の進也と、蓮見探偵事務所の所長の娘加代子、そこに飼われている元警察犬のマサ。彼らは事件の真相を追い始めるが、そこには思いもよらぬ真実が待ち受けていた。

犬のマサの目を通して話が進んで行く点が、とても面白い。全体的にテンポがよく、話の進み方が心地よい。一つ一つベールを剥ぐように真実に近づいていくその過程が、とてもよく描かれていると思う。登場人物もそれぞれが個性的で、とてもよい味が出ている。事件自体は残酷なものだったが、結末は期待を裏切らないものだった。宮部みゆきさんの初めての長編小説だそうだが、彼女の豊かな才能がいかんなく発揮された作品だった。

ゆこりん : 15:09 | 作者別・・みやべみゆき