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2003年3月24日

聖なる黒夜(柴田よしき)


あの日あの時が全ての始まりだった・・・。十年前の気弱な青年練(れん)が再び麻生の前に現れたとき、彼はもう以前の彼ではなかった。過去の因縁が次第に麻生を追い詰めていく。人間の本質に迫り、深い感動を与える作品。

今までに読んだことのない、まるで嵐のような作品だった。次々と展開されるストーリーは息をもつかせない。人間の絆という糸が複雑に絡み合い、どこでどう繋がっているのか、真相を知るたびに驚きの連続だった。人に弱みを見せない強がっている人間こそ、実は人にやさしくなぐさめられたいと願っている人間なのではないだろうか。その心の弱さが見えたとき、読む人は胸を揺さぶられるに違いない。この本に込められた作者の思いは限りなく深く、重い。

ゆこりん : 15:35 | 作者別・・しばたよしき