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2003年3月14日

ささらさや(加納朋子)


突然の交通事故で夫を失ったサヤ。幼い子を抱え必死に生きていこうとするサヤが困ったとき、幽霊になった夫は、他人の体を借りて現れる・・・。ふんわりとした、切なく不思議な物語。

「ささらさや」。それは魔法の呪文。サヤが少しだけ元気になれる言葉。愛する夫を失って途方にくれるサヤを、幽霊になった夫は何とか助けようとする。だが夫は気づく。自分がいなくても、サヤを助けてくれる人たちがたくさんいることを。最後に素敵な魔法をかけて、夫はサヤのもとを去っていく。その魔法はサヤをきっと元気づけるに違いない。夫の限りない愛情を感じるに違いない。いつの日か、二人が再び出会えることを信じて。ささらさや・・・。

ゆこりん : 15:29 | 作者別・・かのうともこ