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2003年3月13日

沙羅は和子の名を呼ぶ(加納朋子)


「わこ。わーこ。わこちゃん。わーこちゃん。」もし別の人生を歩んでいたら・・・。元城一樹の思いが、別の人生の中で生まれるはずだった少女沙羅との出会いを作る。そうして沙羅は和子の名を呼ぶ・・・。現実と過去、現実とありえない世界。さまざまな世界が交錯し始めたとき、そこに浮かんできたのは・・・。表題作を含む10の短編を収録。

その独特の瑞々しい感性からつむぎだされる言葉は、読む人の心をとらえて離さない。ミステリーでありながら、ありふれたミステリーではないところに、彼女の魅力があるのかもしれない。彼女と同じ視点でまわりを見れば、いつもの景色がまったく違ったものに見えてくる気がする。どの短編も異彩を放っているが、表題作の「沙羅は和子の名を呼ぶ」は絶品。おすすめです。

ゆこりん : 15:27 | 作者別・・かのうともこ