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2003年3月 4日

永遠の仔(天童荒太)


「神の山」と呼ばれる山で、一人の少女優希と二人の少年は、優希の父親を殺害してしまう。秘密を抱えたまま三人はそれぞれの人生を歩み始めるが、17年後の再会が新たな悲劇を生み出していく・・・。人の心の本質に迫る、感動の1冊。

愛してほしいと思う相手から逆に虐待を受けたときの子供の心・・・。作者はまるで自分が体験して、その痛みを知っているかのようだ。読んでいて胸が痛い。何度も涙がこぼれた。救われたいと願う心を救えるのは、果たして何だろう。答えが見つからぬまま本を閉じる後ろめたさ。優希、梁平、笙一郎・・・3人悲痛な叫びが聞こえてくるようだ。

ゆこりん : 15:22 | 作者別・・て