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2003年2月25日
仄暗い水の底から(鈴木光司)
あるマンションに引っ越してきた淑美、郁子親子。二人はマンションの屋上で、子供用の赤いバッグを拾う。そのバッグは、以前このマンションに住んでいて、行方不明になった女の子のものだった。その日から不思議なことが起こり始める・・・。行方不明の女の子はどこに?バッグの落ちていた屋上には高架水槽があった。女の子はそこに・・?7つの短編を収録。
どの話も水に関する話だ。7つめの短編は、プロローグとエピローグに関係した話になっている。どれも読んでいてぞくっとするが、本の内容そのものよりも、むしろ、そこに登場する人間の内面、心のうちにあるゆがんだ心理に恐怖を感じる。怖いのは怪奇現象などではない。生身の人間の心だ。そのことを強く感じるから、よけいにこの本に対して怖さを感じる。