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2002年12月18日

おぅねぇすてぃ(宇江佐真理)


明治初期、ある女性を一途に思う男がいた。千吉、彼はアメリカ人の妻になったお順を思い続けていくことを決心する。そこには小鶴という遊女の「おぅねぇすてぃ(honesty・・正直、真心)」があった・・・。

国際結婚も、人妻となった女性への思慕も、認められない時代があった。そんな時代の中、自分の気持ちに正直に、そして真心こめて人に接することを決心した千吉は勇気があると思う。そこには小鶴という遊女の悲しい思いがあったのだが、今の時代では考えられないことだ。遊女の小鶴とは、どんなに愛し合っていても、身請けのお金ができなければ、一緒になれないのだ。愛するもの同志が結ばれるのには、あまりにも困難な時代・・・。だからこそ千吉とお順の生き方は、輝いて見えるのかもしれない。

ゆこりん : 11:53 | 作者別・・うえざまり