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2002年11月30日

岬へ(伊集院静)


父の反対を押し切っての東京の大学への進学。そこでのいろいろな人とのかかわりの中から、しだいに大人として生きるすべを学んでいく英雄。家を継がないという英雄の真意を知った父との決別、弟正雄の遭難事故、旧友との切ない再会。人との絆を強烈に感じさせる、海峡、春雷に続く自伝的作品の第3部。

人はどんなことがあっても逃げてはいけない。生きていかなければならない。英雄は人とのふれあいの中で、確実に何かをつかみ取り、新たな1歩を踏み出していく。決して忘れてはならないもの、それは英雄に対するさまざまな人の思いだ。その思いを無にすることなく歩んでほしい。人は人に支えられて生きているのだから。

ゆこりん : 12:24 | 作者別・・いじゅういんしずか