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2002年9月16日
発火点(真保裕一)
「父が殺される」という、12歳の夏の衝撃的な事件。杉本敦也は心に深い傷を抱えていた。そして9年後の21歳。様々な人との出会いと別れは、彼を成長させ、9年前の事件を冷静に見つめてみようと思い起こさせる。西伊豆・・・。事件のあった場所へ彼は向かう。そして、父を殺した沼田の出現。そこに真実は見えるのか?
現在の出来事と過去の出来事が交錯するように話は進んでいく。敦也自身が淡々と語っていく展開に少々うんざりする場面もあった。「平坦な道をただひたすら歩いていく。」読んでいてそんな感じだった。人の心に憎しみの炎を燃やす発火点。果たして、この作品に書かれているようなことで人はそうなるものだろうか?真実を直接つかめないもどかしさも残る。「読後すっきり」にはならない作品だった。
ゆこりん : 14:09 | 作者別・・しんぽゆういち