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2014年4月10日

ぐるぐる猿と歌う鳥(加納朋子)


父の転勤で北九州へ引っ越してきた小学5年生の高見森は、すぐに同じ社宅に住む子供たちと仲良くなった。親しくなるにつれ、森は彼らが重大な秘密を共有していることに気づく。「パック」と呼ばれる少年はいったい何者なのか・・・?

読んでいて自分の子供のころを思い出した。ああ、こんなふうに毎日世の中に対して何の心配もせずに友だちと遊んでいたのだなぁ・・・。けれど、時は流れていく。子供たちも成長していく。否応なしに大人たちの世界の理不尽さを知ることになる。
「パック」と呼ばれる少年の身に起こったできごとは、とても衝撃的だった。これをどう受け止めたらいいのだろう?大人たちの責任ではないのか?子供たちだけで対処できる限界をはるかに超えている。作者の加納さんはパックのその後を書くつもりらしいのだが、「ぜひぜひ書いてください!」と切にお願いしたい。森やパック、そのほか登場する子供たちの未来の物語を読んでみたい。
子供向けミステリーとして刊行された作品だが、大人が読んでも充分楽しめる作品だと思う。

ゆこりん : 19:54 | 作者別・・かのうともこ