« ペテロの葬列(宮部みゆき) | メイン | 八つ花ごよみ(山本一力) »

2014年2月20日

10月はたそがれの月(レイ・ブラッドベリ)


毎晩「鏡の迷路」にやってくるこびとがいた。なぜ彼は毎晩やってくるのか?その目的を知ったエイメーは彼に興味を抱き、彼のためにある行動に出る。けれど、その結末は・・・。「こびと」を含む19編の短編を収録。

ちょっぴり怖く、そしてミステリアス。時には人の醜い面を見せつける。この本の中には多種多様な物語が詰まっている。
「こびと」は、ひとりの女性の好意がある男のために台無しになる様を描いている。ラストがとても印象的だった。「小さな殺人者」は、かわいいはずの赤ちゃんが恐怖の対象となる衝撃的な話だった。「まさか、そんな動機で・・・。」と思うが、なかなか説得力のある描写だった。「大鎌」は、大鎌で麦を刈るという単調な作業に隠された秘密について描かれているが、その秘密に気づいた男の悲劇が胸を打つ。「運命はどうやっても変えられないのか・・・。」ラストは切なかった。
その他の話も、人間の心理をうまくとらえていて、興味深く面白かった。手元に置いて何度でも読み返したくなる作品だった。

ゆこりん : 19:04 | 作者別・・れ