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2013年10月 9日

祈りの幕が下りる時(東野圭吾)


幼なじみを訪ねた押谷道子が、数日後に死体となって発見された。訪ねた幼なじみとは、女性演出家として華々しい活躍をしている浅居博美だった。彼女の栄光の陰にはいったい何があるのか?なぜ押谷道子は殺されねばならなかったのか?加賀がつかんだ真実とは?加賀恭一郎シリーズ。

押谷道子が殺された事件。その裏側には、ひとりの女性のできれば封印してしまいたいと思うほどの悲しい過去があった。誰にも知られたくない過去だった。「守るべきものは何か?」そこから導き出される結論は、あまりにもせつない。刑事と犯人、追い詰める者と追い詰められる者・・・。だが、真実を追い求める先に見えてきたのは事件の真相だけではなかった。加賀にかかわりのある人物の生き様までが見えてきた。「ああ!そうだったのか・・・。」と胸が痛む思いだった。その人生は憐れすぎる。
「過去のできごとと現在のできごとが交錯し、事件の真相は思わぬところに!」ということなのだが、内容自体には目新しいものはなく、今まで読んできたさまざまなミステリーのストーリーをあちこちから切り取り、パッチワークのようにつなぎ合わせた感じがした。加賀の過去や、新たな展開を期待させる部分は興味深かったのだが。

ゆこりん : 19:12 | 作者別・・ひがしのけいご