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2013年7月26日

ローカル線で行こう!(真保裕一)


もりはら鉄道は、JRから経営を引き継いだ第3セクターのローカル線だ。地域の足となっているが、赤字続きで国からの交付金も底をついてしまった。
「もりはら鉄道に未来はない。」
誰もがそう思っていたとき、ひとりの女性が登場する。篠宮亜佐美!彼女は新社長としてこの赤字ローカル線の建て直しを試みるが・・・。

第3セクターのローカル線。それはどこも厳しい経営状況にあるのが現状だ。しかし、簡単に廃線にはできない。地域の足を奪うことになるからだ。「赤字解消」その困難な目標に向って、篠宮亜佐美は果敢に挑戦を続ける。次々に出される奇抜なアイディア。マスコミも上手に利用して、彼女は売り上げを着実に伸ばしていく。だが、それを喜ぶ者ばかりがいるわけではない。中には、自分の利益優先のために快く思わない者もいる。不可解なできごとが次々に起こる。予想外の出費!イベントへの妨害工作!列車の進路妨害!もりはら鉄道を窮地に追い込むため、敵はあらゆる方法を画策する。けれど、亜佐美はそのつど危機を乗り越える。まだ赤字が解消されたわけではない。乗客数がこれからも伸び続けるのかも未知数だ。だが、彼女は胸を張って己の信念を貫き通すだろう。歩くその先に、明るい未来が待っていることを信じたい。読み出したら最後まで止まらない、楽しい作品だと思う。

ゆこりん : 19:24 | 作者別・・しんぽゆういち