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2012年5月 9日

山茶花は見た(御宿かわせみシリーズ4)(平岩弓枝)


ある娘の証言で盗賊一味が捕まった。だが、盗賊たちは島抜けをした。「証言した娘が危ない!」娘への仕返しを恐れ、東吾たちは匿うことにしたのだが・・・。表題作「山茶花は見た」を含む8編を収録。

表題作「山茶花は見た」は、人の思い込みを巧みに利用した話だった。人の言うことを簡単に信じてしまってはいけないのは、今も昔も変わりないのかもしれない。「女難剣難」では、東吾の友人の源三郎に縁談が持ち上がる。人の弱みに付け込むような手口には腹立たしさを感じた。利用された源三郎が哀れだ。「鬼女」は、松本清張の「ゼロの焦点」を思い出させる話だった。女は怖い!(笑)「ぼてふり安」は、父が自分の幸せを得るために娘を女郎に売る話だった。当時そういうことがあるとは聞いていたが、やはりひどい話だと思う。父に売られたおいちが、幸せな人生を歩めそうでよかった。
いつの世も人の欲望はきりがない。作者の描く人間模様を、これからも楽しみながら読んでいきたい。

ゆこりん : 19:30 | 作者別・・ひらいわゆみえ