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2011年11月25日

愚行録(貫井徳郎)


幸せそうに見えた家族だったのに・・・
一家四人惨殺という恐ろしい事件が起こった!彼らはいったいなぜ殺されなければならなかったのか?そして犯人は?さまざまな人たちの証言から浮かび上がってきた被害者の別の顔とは・・・?

いろいろな角度からのさまざまな証言が、被害者の人間像を立体的に作り上げていく。次々に意外な面が明らかになる。本人にとっては何気ない行動や言動でも、受け取る側にしてみれば悪意を含んだように感じることだってあるのだ。「理想的な家族」というイメージが、次第に崩壊していく。知らないところで憎悪が生まれ、それが最悪の事態を引き起こしていく・・・。また、証言する側の感情にも複雑な思いが渦巻いている。冷静に証言しているつもりでも、不満や嫉妬など悪の感情が見え隠れしている。人間のいやな面・・・負の面が、作者によって読み手に容赦なく突きつけられる。読んでいて思わず後ずさりしたくなるような場面もあった。「人間の本質はいったいどこにあるのか?」面白さだけではなく、重い問題も含んだ作品だと思う。

ゆこりん : 19:57 | 作者別・・ぬくいとくろう