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2011年8月19日

私の家では何も起こらない(恩田陸)


丘の上に建つ小さな家に、ある日"男"がやって来る。「なぜこの家を買ったのか?」「あなたの叔母は何か言っていなかったか?」男の意図するものは?この小さな古い家には、奇怪なできごとに染められたたくさんの歴史が積み重ねられていた・・・。表題作「私の家では何も起こらない」を含む9+1編を収録。

異次元の空気をまとい、ひっそりと丘の上に建つ家。そこで起こった数々の信じられないできごと!「生」と「死」。人はいつもその間に線を引きたがる。けれど、このふたつの間には、線など引けるはずがない。表裏一体。「生」と「死」はふたつでひとつなのだ。からみ合い、混じり合い、そこから伸ばされた手は読み手の心をつかみ、恐ろしいまでに締めつける。最初から最後まで不思議な雰囲気が漂い、恩田陸の独特の世界が果てしなく広がる。けれど、作者の意図をきちんと理解するのが困難で、読んだ後も、もやもやとしたものだけしか残らなかった。消化不良の作品だった。

ゆこりん : 21:32 | 作者別・・おんだりく