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2011年3月13日
シャイロックの子供たち(池井戸潤)
銀行から現金100万円が紛失した。ある女子行員に疑いがかかるが、上司の西木は他に犯人がいると考え独自に調査を進めていた。その西木が失踪!?紛失事件の裏には、驚くべき事実が隠されていた。10編を収録。
現金紛失事件をめぐり、さまざまな人間関係や銀行の裏事情が浮かび上がる。「業績」「対面」「立場」などの言葉に縛られた人間の行動には悲壮感が漂っているように思えた。職場は戦場で、そこで働く男も女も戦士なのだ。
この作品の中には10の話があり、同じ銀行に勤めるさまざまな人間が描かれている。一見バラバラの物語のようだが、実は微妙につながっている。短編集なのに、読後は長編を読んだような感覚になる。構成がよく、ラストも意外性があり、そこまでの持って行き方も見事!楽しめる作品だと思う。
ゆこりん : 19:32 | 作者別・・いけいどじゅん