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2011年3月 6日

あの頃の誰か(東野圭吾)


津田弥生は恋人の北沢孝典と待ち合わせをしていた。別れ話を切り出すつもりだったが、孝典は約束の時間になっても現れない。怒った弥生は彼のマンションに行くが、彼は何者かに殺されていた。孝典の死の裏には、意外な事実が隠されていた・・・。「シャレードがいっぱい」を含む8編を収録。

「収録作はすべてわけあり物件」という言葉に興味を持ち、この作品を読んでみた。確かに、「わけあり」と言えないこともない。「シャレードがいっぱい」では遺言状が重要な鍵になるが、納得のいく結末ではなかった。「レイコと玲子」「眠りたい死にたくない」などは、ミステリーというより星新一さんのショートショートのような感じだったが、完成度はいまいちという感じがした。「さよなら『お父さん』」も、「秘密」の原型ということで読んでみたが、淡々とした物足りない作品だった。
東野圭吾ファンが「こういう作品もあったんだ。」と思いながら読むにはいいかもしれないが、東野作品未読の方には他の作品から読むことを薦めたい・・・そう思わせるきわめて平凡な作品だった。

ゆこりん : 22:44 | 作者別・・ひがしのけいご