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2010年3月22日

インディゴの夜(加藤実秋)


「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれる店があるといいのに。」
フリーライター高原晶の言葉に、大手出版社の編集者、塩原が動いた。そうして出来上がったのが、ホストクラブ「club indigo」だった。そのクラブのホストのひとりに、女性殺しの嫌疑がかかる。晶は、塩谷そしてホストの面々たちと、真犯人捜しに乗り出すが・・・。表題作「インディゴの夜」を含む4編を収録。

軽快で読みやすい。そして何より、ストーリーがいい。また、登場する人物ひとりひとりがとても魅力的で、いきいきと描かれている。作品の中を所狭しと駆け回り、起こる事件を次々に解決していくさまは爽快だ。事件そのものは悲惨だが、作者はサラリと軽いタッチで描いている。石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパークシリーズ」を思い出させるが、それとは一味違う魅力がある。舞台がホストクラブというのも、興味深い。実質「club indigo」を取り仕切る憂夜にもまだまだ謎の部分がありそうで、この先の展開にとても期待が持てる。文句なく楽しめる作品だと思う。

ゆこりん : 15:33 | 作者別・・かとうみあき