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2009年12月13日

さよならの代わりに(貫井徳郎)


和樹のまえに突然現れた少女祐里。彼女は、和樹が所属する劇団「うさぎの眼」で起こった殺人事件の犯人を探しに、27年後の未来から来たという。半信半疑のまま和樹は祐里に協力するが、事態は思わぬ展開を見せることになる・・・。

27年前の事件が、自分の生活に影響を及ぼしていると語る祐里。和樹は、事件の真相を探るべく行動を開始する。本来なら、真相追究の場面はワクワクしながら読むところだが、この作品ではそういう感じがまるでなかった。ダラダラとした緩慢な展開は、むしろイライラ感を募らせる。タイムスリップは、よくある話だ。未来から来た者が過去を変えることができるのか?これもよくあるテーマだ。目新しさがあまりない。ラストもうまくまとめたように見えるが、不満だ。結局何も解決していない。最後の最後は読者にゆだねるということなのだろうが、プッツンと切れてしまったようですっきりしない。ミステリーとしてもお粗末な感じで、「いまいち」としか言いようがない作品だった。

ゆこりん : 16:16 | 作者別・・ぬくいとくろう