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2009年9月15日

ふちなしのかがみ(辻村深月)


「あこがれの高橋冬也と自分の未来を知りたい!」
香奈子は、友だちから聞いた方法で自分の未来を鏡に映してみた。そこで見た一人の少女は?彼女はしだいに、現実の世界と鏡の中の世界との区別がつかなくなる。そして・・・。未来を変えたいと思い始めた香奈子を襲った戦慄のできごととは?表題作「ふちなしのかがみ」を含む5編を収録。

「ふちなしのかがみ」のラストには衝撃を受けたが、それよりも怖かったのは「踊り場の花子」だった。じわじわと迫り来る得体の知れない恐怖。否定したくてもできない状況に追い込まれていくひとりの男。ラストに待っているものは・・・。思い出しただけでも、ぞくっとする。また、「八月の天変地異」は、怖さよりもむしろほのぼのとしたものを感じた。この3編は面白かった。けれど、「ブランコをこぐ足」「おとうさん、したいがあるよ」は、作者の意図がまるで分からなかった。特に「おとうさん、したいがあるよ」の話は意味不明と言ってもいいくらいだ。5編の話を比べると、よくできている話とそうでない話との差が大きい。大き過ぎる。そこが読んでいて残念だった。

ゆこりん : 19:02 | 作者別・・つじむらみづき