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2009年9月10日

年下の男の子(五十嵐貴久)


川村晶子37歳。結婚をあきらめたわけではないけれど、彼女は思いきってマンションを購入する。翌日、会社でトラブル発生!晶子は14歳年下の児島達郎と一緒にトラブル処理にあたるが、そのことがきっかけでふたりの関係は微妙な方向へと進んでいく。はたしてふたりの恋の行方は?

晶子は思う。「年下にも限度がある。」だが、14歳年下の「児島くん」は、まっすぐに晶子に向かって突き進んでくる。周りの状況も、年齢のことも、彼には関係ない。好きだと思ったら一直線。若さだ!これほどストレートに、相手に自分の情熱をぶつけることのできる彼がうらやましい。年をとるとどうしても「世間のしがらみ」に縛られてしまう。晶子もそうだった。自分の気持ちに正直になれず、一歩が踏み出せない。彼女の揺れ動く心に、読み手も一喜一憂してしまう。切ない女心に、ホロリとする場面もあった。「がんばれ!」思わず声援を送りたくなる。「いったいどんなラストが待ち受けているのか?」読んでいて、期待は高まるばかり。そして、ラスト・・・。さすが晶子さん!一味違う行動でした♪読後感もよく、楽しめる作品だと思う。

ゆこりん : 17:10 | 作者別・・いがらしたかひさ