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2009年9月 8日

天魔(池波正太郎)


8年ぶりに秋山小兵衛のもとに現れた笹目千代太郎。色白で優しげな美しい顔だちだが、心には残虐さを秘めていた。次々に道場を襲い試合相手を殺していく千代太郎に、秋山父子はどう立ち向かっていくのか・・・。表題作「天魔」を含む8編を収録。「剣客商売」シリーズ4。

この作品も期待に違わず面白かった。「天魔」では、人を殺すことになんのためらいもない、それどころか楽しんでさえいるような笹目千代太郎が登場する。はたして秋山親子は勝てるのか?緊迫感が漂う話だ。そうかと思えば、男色を描いた「夫婦浪人」のような面白い話もある。ラストはちょっとほろ苦いのだが・・・。また、「箱根細工」のように親と子の関係について考えさせられる話もあった。この話に登場する横川彦五郎にもう少し親としての愛情があれば、彦五郎の息子の人生も違ったものになったと思う。
8編どれもが読んで楽しめる。さまざまな人の人生が織りなすドラマは味がある。秋山親子のこれからの活躍も楽しみだ。

ゆこりん : 18:39 | 作者別・・いけなみしょうたろう