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2009年7月28日
弥勒の月(あさのあつこ)
小間物問屋遠野屋のおかみ、おりんが川に身投げした。遠野屋の主人清之介の頼みによりおりんの死の真相を探る同心木暮信次郎と岡っ引の伊佐治だが、ふたりは清之介に対し不審なものを感じる。いったいおりんの死には、何が隠されているのか?また、清之介が心に抱えているものとは?
おりんの身投げした理由を調べてくれるよう信次郎に頼んだ清之介だったが、彼の行為は己の首を絞めることになる。闇の中を歩いてきた清之介の過去がしだいにあばかれていく。大切でかけがえのないおりんという存在を失った清之介は、これからどうなっていくのだろう。おりんによって日の当たる場所に出ることのできた清之介は、再び闇の世界に戻らなくてはならないのだろうか?つきまとう闇の住人たちから逃れるすべはないのだろうか?清之介の過去や、心に抱えているものが悲しすぎる。切なく胸を打つ作品だった。
ゆこりん : 15:32 | 作者別・・あさのあつこ