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2009年6月15日

訪問者(恩田陸)


3年前、朝霞千沙子が湖で溺死した。そして、千沙子に育てられた峠昌彦も事故で急死する。千沙子が住んでいた館に集まった朝霞一族は、峠昌彦の遺言の内容に驚いた。集まった中に昌彦の父親はいるのか?千沙子や昌彦の死の真相は?「訪問者に気をつけろ」この言葉の意味するものは・・・?

次々と現れる訪問者。そして、陸の孤島となってしまった館。限られた空間と限定された登場人物たちの行動や会話から、千沙子と昌彦の死の真相が徐々に明らかになっていく。そして、昌彦の父親が誰かということも・・・。
本を読むと、いつもなら頭の中で映画を観るように映像が出来上がっていくのだが、この作品はまるで舞台を観ているような感覚になっていった。個性豊かな登場人物たちが鋭い洞察力で謎のベールを一枚ずつはがしていく。真相が分かってしまえば「なんだ。そんなことか。」と思ってしまうかもしれないけれど、話の展開や盛り上げ方は実に巧妙だ。「訪問者」というタイトルを見た段階から、読者はもう作者に惑わされている。読後も不思議な余韻を読み手に残してくれる。恩田陸らしい作品だった。

ゆこりん : 19:37 | コメント (2) | 作者別・・おんだりく


コメント

いや~、まったく最近ページをめくる手が
動かない。ん? 変な表現?
いまいち、本に集中できなくて、一日1ペ
ージも進まないことが・・・。

そんなときには恩田さんの本を手にすれば
グイグイと恩田ワールドに引き込まれて
読書ペースが上がるはず・・・とは思い
ます。恩田陸作品は大好きですが、恩田
作品漬けになって「そろそろ飽きたなぁ」
ってなるのもアレなんで、最近、恩田作品
とは距離を置いていたんですけどね。

この「訪問者」も要チェックですね。
面白そ!


> この作品はまるで舞台を観ているよ
> うな感覚・・

あ、そういう系の小説は恩田先生の作
品にはけっこうありそうです。分かる
なぁって。

以上、ミシェルでしたぁ(長くてスミ
マセン)。

投稿者 ミシェル・デマルケ : 2009年6月16日 07:35

>ミシェル・デマルケさん
こんにちは~♪
確かに同じ作家さんの本を読み続けると
飽きてきますよね。
この作品は淡々としてますが、本当に恩田さん
らしい感じでした。
舞台でやるといいかも~♪最初からそのつもりで
書いたのかしら?恩田さん(^^;

投稿者 ゆこりん : 2009年6月16日 18:10