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2009年2月14日

旅のラゴス(筒井康隆)


30年もの長い間旅を続けたラゴスが、最後にたどり着こうとしたところはどこなのか?ラゴスの不思議な旅を通して、「人間」という生き物を見つめた作品。

旅というのは、人生に役立つ何かを得ることができると同時に、何かを捨てなければならないものでもある。いろいろな人たちとの出会いと別れ、さまざまな体験を繰り返すラゴス。そんなラゴスの旅で特に印象に残ったのは、ボロ村でのできごとだった。ドームの中でひたすら本を読むラゴス。そんな彼にアドバイスを求める村人たち。ドームの中のラゴス自身は何も変わらないのに、ドームの外の村は急速に変化していく。「人間とはこういうものなのだ。」作者の声が聞こえてくるような気がした。
求めていたもの。30年たっても変わらず求めていたもの。それが分かったとき、ラゴスは再び旅に出る。求めているものは得られたのだろうか?笑顔で旅を終えることができますようにと、願わずにはいられない。人は誰でも、人生という道を歩く旅人なのかもしれない。この作品を読んでそんなことを感じた。

ゆこりん : 10:57 | 作者別・・つ他