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2008年6月 1日

青函連絡船洞爺丸転覆の謎(田中正吾)


1954年(昭和29年)9月26日、すさまじい台風のために5隻の青函連絡船と1430名の命が海に消えた。なぜ悲惨な海難事故が起こったのか?克明に調査した、作者渾身の作品。

「洞爺丸事件」を知る人はだんだんと少なくなってきている。50年以上前のできごとで、当時の様子を知る人も年々減っているという。この悲惨な海難事故はなぜ起きたのか?そこに、当時の気象科学の限界が見えてくる。長年の蓄積されたデータから動きを予想してはいたが、このときの台風の動きは予想を裏切るものだった。もし今のように気象衛星などがあったのなら、このような惨事は防げたかもしれない。悲劇は起きてしまった・・・。そこから学ぶものも多々あったに違いないが、あまりにも大きな犠牲を払わねばならなかった。20数年前、我が家の隣に住んでいたMさん。彼の両親は、洞爺丸に乗っていて命を落とした。親戚に預けられていたため難を逃れた彼の胸に去来するものは、いったい何だったのだろう?二度とこのような悲劇が起こらないことを祈る。

ゆこりん : 14:53 | 作者別・・た他