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2008年5月 2日

火怨(高橋克彦)


陸奥で穏やかに暮らしてきた蝦夷たち。その彼らの生活を根底から揺るがすできごとが起こった。黄金が発見されたことから、朝廷は蝦夷征伐に乗り出したのだ。蝦夷たちは、朝廷軍との戦いを決意するが・・・。蝦夷のリーダー阿弖流為(アテルイ)やその仲間たちを、あざやかに描いた作品。

「共存共栄」。なぜそれができないのか?蝦夷たちを獣並みにしか思わない朝廷側の人間たちは、侵略・征服だけしか考えていない。阿弖流為たちは何万もの朝廷軍を相手に、実に20年もの長い間戦いを繰り返す。お互い多大な犠牲を出しながら、まだそれでも戦いは続く・・・。戦いを終わらせ蝦夷たちが安心して暮らせるためにと、最後に阿弖流為がとった行動には泣かされた。ここまで自分の身を犠牲にできるものなのか。阿弖流為は真の英雄だった。
「征夷大将軍坂上田村麻呂が蝦夷を平定する。」
歴史の教科書ではこれだけの記述で終わってしまうが、その裏には数々の人間ドラマがあった。前半は無駄に長すぎると思わないでもなかったが、全体的には読み応えのある感動的な作品だった。

ゆこりん : 16:06 | 作者別・・た他