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2007年12月 5日

漱石の思い出(夏目鏡子)


文豪・夏目漱石。彼の、夫としての顔、父親としての顔、そして人間としての顔はどうだったのか?妻の夏目鏡子さんが語り、長女筆子さんの夫である松岡譲さんが文章にまとめた作品。

誰よりも一番身近にいた人だからこそ語れる漱石の日常。作家としてではなく、一人の人間としての姿が鮮やかに描かれている。精神的な病や胃病に悩みながらの作家生活、夫としての顔、父親としての顔、そして漱石を慕う多くの人たちとの交流など、どの話も興味深いものばかりだった。そこには人間臭い漱石がいる。気難しく怒りっぽい人だとばかり思っていたが、温かく思いやりがあり、細かいところに心配りをする繊細な一面もあったのだ。漱石の死因は胃潰瘍だが、現代の医学ならそれが原因で命を落とすことはないだろうと言われている。早すぎる死がとても残念でならない。

ゆこりん : 17:50 | 作者別・・な