« 吉原手引草(松井今朝子) | メイン | 青年のための読書クラブ(桜庭一樹) »

2007年9月21日

サクリファイス(近藤史恵)


「自分のために走るのじゃない。仲間のために走るんだ。」
そんな思いで走っていた自転車ロードレース。だが、白石が自分のために走ろうとしたとき、自分以外のエースの存在を認めないという石塚の存在が重くのしかかる。石塚には、3年前にあるエースをつぶしたという疑惑があったのだ・・・。

北海道にも「ツール・ド・北海道」というロードレースがある。実際に見たことがあり、かなり興奮したのを覚えている。はたから見れば華やかなレースに見えるが、実はかなり過酷なものであることをこの作品で知った。選手の思惑、レース中の駆け引き、レース展開、どれをとってもその描写は真に迫り、読み手をロードレースの世界へと引きずり込む。自分を犠牲にしてもエースやチームを勝たせる。そういうスポーツはほかにあまりないのではないだろうか。石塚は本当にエースをつぶしたのか?その疑惑が明かされないままラストへ。そこでこの作品のタイトル「サクリファイス」の真の意味が明かされるが・・・。読後、複雑な思いが残ったが、読み応えのある面白い作品だった。

ゆこりん : 17:03 | コメント (4) | 作者別・・こんどうふみえ


コメント

どーも♪
この小説、決して読後感はいいものではありません。しかし強烈なインパクトと清々しさを感じてしまいました。「サクリファイス」の意味もさることですが、あの程度の(本の)厚さであの読み応えは凄いと思いました。余計な描写を省き、必要不可欠な本筋だけでこれほどいろいろな感情が生まれてしまう小説なんて他にあまりないですよね。

投稿者 りべ Author Profile Page : 2007年9月21日 22:17

>リベさん
こんにちは~♪
この作品、一気読みでした。
確かにこの長さでこの読み応えはすごいです。
先が知りたくて、たまりませんでした。
真相は、驚き、切なさ、やるせなさ・・・。
いろいろな思いが渦巻いて複雑でした(^^;

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年9月22日 14:31

こんばんは。
この作品は、これまた偶然、現在読み始めました(笑)
なかなか評判いいみたいですね。
読了後にじっくり伺わせていただきます。

投稿者 よし : 2007年9月24日 21:51

>よしさん
パソコンのトラブルなどで返事が遅くなって
しまいました(^^;
もう読み終えたのでしょうか?ぜひ感想を
聞かせてください。楽しみにしています。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年9月28日 17:04