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2007年9月14日

いつか陽のあたる場所で(乃南アサ)


芭子と綾香。谷中で新しい生活を始めた二人には、誰にもいえない過去があった。いつの日か胸を張って堂々と生きていける日が来ることを信じ、前向きに生きる二人の女性を描いた作品。

償いの日々は終わっても、心が晴れることはない。そんな切ない日常の中、希望を見つめることだけは忘れない。芭子と彼女の家族との関係、綾香の犯した罪など、考えれば心が重く沈んでしまいそうなこともあるけれど、二人の明るさには救われる思いがする。どちらかがくじけそうになったときには、どちらかが励ます。そんな持ちつ持たれつのほほえましい関係が、ずっと続くといいと思う。これから二人がどんな人生を歩んでいくのか、それを静かに見守りたい。「ボクの町」「駆け込み交番」でおなじみの高木聖大巡査も登場し、この作品にほのぼのとした雰囲気を与えているのもよかった。

ゆこりん : 16:28 | 作者別・・のなみあさ