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2007年3月19日

クラインの壺(岡嶋二人)


ゲームストーリー「ブレイン・シンドローム」が、実際にゲーム化されることになった。原作者の上杉彰彦は、イプシロンプロジェクトが作ったゲームの世界を自ら体験することになる。仮想現実の世界に入り込んだ彼を待っていたのは、恐ろしいできごとだった・・・。

現実と仮想現実の世界。その境はいったいどこにあるのか?読んでいて分からなくなってしまった。あたかも実際に触れたように、見たように、食べたように・・・。仮想世界で体験したことを、実際に体験したように錯覚する。ゲームの世界なら、それはとても魅力ある世界を体験できることになる。だが、それを別の目的で使ったとしたら?人が人を操作することも可能だ。また、人間の人格を破壊することも可能だ。これは、恐ろしい兵器となってしまう。彰彦はいったいどの世界にいるのか?その謎が読み手を作品にのめり込ませる。この作品は1989年に刊行された。だが発想は、まったく古さを感じさせない。むしろ現代に通じるものがある。ラストは、まだその先を読みたいと思わせるものだった。気になってしょうがないのだが・・・。

ゆこりん : 21:19 | 作者別・・おかじまふたり