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2007年2月12日

いちばん初めにあった海(加納朋子)


住んでいるアパートのあまりの騒音のひどさに引越しを決意した千波。本を片付けようとした時、1冊の見慣れない本があるのに気づく。「いちばん初めにあった海」というタイトルの本の間には、「YUKI」という見知らぬ人物からの手紙がはさまっていた。千波と「YUKI]、二人の過去にはいったい何があったのか?表題作と「化石の樹」の2編を収録。

過去のできごとの描写と現在のできごとの描写のはざまの中、千波という一人の女性の姿が、一枚一枚ベールをはぐように見えてくる。心に深い傷がある。そのことにさえも気づいていない千波。そんな千波を救おうとしたのは、やはり心に深い傷を持つ麻子だった。友情がいつしか千波の心を癒していく。そして麻子の心も・・・。悲しみの底に突き落とされた時、人は自分で自分の心を壊してしまうことがある。そんな時、やさしく手を差し伸べてくれる人がいたならどんなに救われることか!千波が再生していく様子を泣きたくなるような気持ちで読んだ。「いちばん初めにあった海」「化石の樹」の二つで一つの物語は、心温まるものだった。

ゆこりん : 17:04 | コメント (4) | 作者別・・かのうともこ


コメント

こんばんわ^^
私もとても好きです。
どちらもいいですよね~
好きです。
千波の記憶、切なかったですね~
そして最後の麻子の言葉も良かったです。

投稿者 苗坊 : 2007年2月13日 00:20

>苗坊さん
( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
千波の記憶はホント切なかったです。
でも、ラストはほのぼのでよかった~。
ホッとしました(*^▽^*)
この作品、二つで一つですよね?(o^-^o)

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年2月13日 18:12

切ないけれど、心温まるお話、好きです。
「化石の樹」は、まったく、違う話だと思って読んでいたけれど、話がつながった時、この話の深みを感じました。

投稿者 : 2007年2月16日 22:07

>花さん
こんにちは~。
まさに二つで一つですよね。
「化石の樹」がなければこれだけ面白いと感じなかった
かもしれません。作者のうまさを感じました。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年2月17日 15:55