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2007年2月 1日

心にナイフをしのばせて(奥野修司)


高校生になったばかりの息子が殺された!その無残な姿は家族に衝撃を与える。被害者の家族は、一生消えることのない心の傷を抱いて生きていた。一方、加害者の少年は・・・。28年前の事件を追跡した作品。

いったい何があったのか?15歳の少年が同級生を殺害する。それも残酷な方法で。そこから被害者の家族の地獄が始まった。何年たっても決して消えることのない心の傷。忘れたくても忘れられない。つねに事件のことが頭にある。家族の心情を思うと、胸が痛い。加害者は「少年法」により、それほど罪を問われることはなかった。そして、数年後には何食わぬ顔で社会に復帰する。この事件の加害者の少年の、その後の姿にはあ然とさせられた。彼には、被害者の家族へ詫びようとする気持ちはまるでなかった。社会的地位を得て、平然と生活している。そのことに激しい衝撃を覚えた。被害者の家族を救済する道はないのか?読後は、やりきれない気持ちだけが残った。

ゆこりん : 19:33 | 作者別・・お他