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2006年12月21日
闇の底(薬丸岳)
少女が性犯罪の犠牲になるたびに、過去に同じような罪を犯した者が殺される。犯罪をなくすための殺人。犯人を捕らえようとあせり、必死になる警察。はたして、完全犯罪は成立するのか?
幼い女の子が犠牲になる性犯罪は、現実の世界でも後を絶たない。犯人を捕まえても、同じような事件が起こり続ける。もし我が子が犠牲になったとしたら・・・。どうすれば止められるのか?この作品の「男」の究極の選択は驚愕すべきものだった。だが、ほかにどんな方法があるのだろう。決して許される方法ではないけれど、犠牲者の家族が、胸がすっとする思いを味わうのは当然だろう。「恐ろしい殺人犯だけれど、捕まってほしくない。」読んでいて、そう思ってしまう。最後の最後まで犯人は分からない。そのことが、作品を一気に読ませる原動力になっている。ラスト・・・真実を知ったとき、そして、「絶対に捕まらない。」というその言葉の意味するものを知ったときは衝撃だった。はたしてこのラストは是か非か?いろいろな人の意見を聞いてみたいと思った。