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2006年4月 7日

Op.ローズダスト(福井晴敏)


アクトファイナンシャル常務取締役の水月聡一郎が殺された。巧妙に仕掛けられた爆弾によるものだった。だが、この事件は単なる序章に過ぎなかった。「オペレーションローズダスト」この作戦の真の目的は何か?入江一功と丹原朋希。二人の凄まじい戦いが今、始まろうとしていた。

かつて心を通わせていた入江一功と丹原朋希。だが、ある出来事をきっかけに二人は離反する。それぞれの心に深い傷を残して。二人が愛した女性堀部三佳が作った「ローズダスト」という言葉。その言葉の持つ意味は深い。緻密な描写が、登場する人物像や舞台となった臨海副都心を鮮やかに浮かび上がらせる。読んでいて人の息づかいや光景がはっきりと感じられるほどだった。だが、並河と朋希という、ちょっとさえない中年男性と心に傷を持つ若者という組み合わせは、今までの福井作品に何度も登場したパターンだ。またかという印象は否めない。危機が迫る中での激しい攻防戦は作者得意の描写か?そしてラスト。本当は感動するはずの場面だと思うが、「終戦のローレライ」や「亡国のイージス」ほどの感動はなかった。また、入江一功やその仲間たちがなぜこんな行動を起こしたのか?その原因となる出来事についても説得力に欠けるように思った。

ゆこりん : 23:51 | コメント (2) | トラックバック (2) | 作者別・・ふくいはるとし

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『Op.ローズダスト』 福井 晴敏(著) 【評価】 ★★★☆    ◎この記事は、ネタバレはありません。 [続きを読む]

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 今回は 「Op.ローズダスト」 福井 晴敏著 です。 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年10月 8日 12:57


コメント

こんにちは。
コメントありがとうございました。

>またかという印象は否めない。
私も朋希が如月行と重なって見えてしまって仕方がなかったです。
同じパターンの繰り返しでも、毎回楽しませてくれればいいのですが、
今回はそれだけの素晴らしさがなく、物足りないですよね。

>入江一功やその仲間たちがなぜこんな行動を起こしたのか?
動機の説明が不十分で、共感しづらかったですね。
共感できないと、なぜあのような方法を選んだのかに必然性がなく、
結果最後で一緒に盛り上がれない。

"福井晴敏なら"と期待している度合いが強すぎるのかもしれませんね。

投稿者 KOROPPY : 2006年4月22日 15:33

>KOROPPYさん
こんにちは~♪
そうそう!如月行とどうしても比べちゃうんですよね。
行があまりにもよかったので、どうしても朋希が・・(^^;
入江一功と丹原朋希の因縁も分かりづらかったです。
ラストも泣けないし。
何だか、けなしてばかりになってしまいました。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年4月22日 15:56