« さよならバースディ(荻原浩) | メイン | 誘拐ラプソディー(荻原浩) »

2005年8月14日

終末の海(片理誠)


核戦争により住んでいた世界は崩壊した。圭太は父母やその仲間とともに漁船で海に逃げ出したが、座礁!そんなとき豪華客船が現れた。だが、父母を初め乗り込んだ大人たちは誰一人帰って来なかった。そして2年後、再び現れたその船に今度は圭太たちが乗り込んでみたのだが、一人また一人と仲間たちが消えていった・・・。

大人たちが消えた後、ほとんど子供たちだけで生き抜いていた。今ある物をうまく利用し、食べ物を分けあって。がんばる男の子を描きたかったという作者の思いが伝わってくる。豪華客船で人が消えるのはなぜか?なぜ誰もいないのか?その真相には意外性があった。だが、内容、描写ともに小学生、中学生の子供向けのような感じがした。起こっている出来事だけが淡々と描かれていて、深みが感じれらない。登場人物の描写をもう少していねいに描いてほしかった。そうすれば彼らの苦悩や悲しみがもっと伝わってきて、作品全体に幅が出てくると思うのだが。

ゆこりん : 16:50 | 作者別・・へ