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2004年12月16日

I’m sorry, mama.(桐野夏生)


お金のためなら人も殺す。じゃまな人間は排除する。悪魔のような心を持つアイ子。だが、彼女の人格は幼い頃にゆがめられてしまったものだった。肉親の愛情も知らないで、いじめられながら育った日々。彼女の行き着く先は?

「人の命を何とも思わない。」思いやりをかけられることも、かけることもなく育った。愛情に飢えていた。誰も頼る人がいなかった。彼女の不幸な生い立ちが、彼女の人格をゆがめてしまった。そんな彼女が、ある日自分の母親が誰なのかを知りたいと思う・・・。人間知らないほうが幸せなこともある。アイ子の場合も知るべきではなかったのかもしれない。憎みきれない。実の母親を慕う気持ちがやはりあったのだろう。そう考えると、この本の題名が物悲しく見える。

ゆこりん : 16:05 | 作者別・・き他