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2004年5月14日

駆ける少年(鷺沢萠)

父はどんな人間だったのか?父の過去には何があったのか?龍之は父龍之介の菩提寺である律仙寺で、過去帳を受け取る。そして、父の一生に隠された思いを探り始める。表題作を含む3編を収録。

複雑な人間関係の中で育った父。父の過去が見えてきたとき、龍之は父の寂しさを知る。父は寂しさを癒やそうとして走り続けたのか?心の隙間を埋めようとして、出来る限りのことをまわりの人間にしていたのか?父の気持ちが分かったとき、龍之は初めて父と心がつながったように感じたのではないだろうか。親子はどこまで行っても親子。心の絆は決して切れることはないのだと思う。

ゆこりん : 20:43 | 作者別・・さぎさわめぐむ