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2004年5月 8日

バイバイ(鷺沢萠)


嘘は寂しさを消し去ってくれるのか?勝利には朱美のほかにつきあっている女性が二人いた。誰にも嫌われたくないという思いの裏には、幼い頃の体験が影響していた・・・。

親の愛をあまり受けられずに育った。預けられる親戚の家では、嫌われないように行動した。「やさしい子」だと人に思われることが、自分を守る唯一の手段だったのかもしれない。それは女性とつきあうときも同じだった。だが、誰にでもやさしいということが、人を傷つけることもある。自分が寂しい人間だと分かったとき、そして人を信じないというよりも、もっと困難な信じるという道を選んだとき、勝利は自分にとって何が大切なのかに気づく。その描かれている過程がたまらなく素敵だ。作者のやさしい思いが伝わってくるような気がした。

ゆこりん : 17:03 | 作者別・・さぎさわめぐむ