« 対話篇(金城一紀) | メイン | きらきらひかる(江國香織) »

2004年4月13日

五年の梅(乙川優三郎)


藩主への諫言を決めた時、男は許婚から、理由も言わずに去っていった。何も知らない女は、別の男のもとに嫁いだ。それから五年、二人は再会するが・・・。表題作を含む五つの短編を収録。

人は、生きている。悩んだり、恨んだり、悲しんだり、喜んだりしながら。作者は、日常に生きる人々の心情を細やかに描いている。時代物でありながら、時代物だと感じさせない。そこには、今の時代にも共感できる人々の姿がある。いつの時代も大切なのは、人を思いやる心なのかもしれない。人が人を思う時、そこからまた新たな人生が始まる。作者はそのことを静かに語っている。

ゆこりん : 08:29 | 作者別・・お他