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2004年2月10日

卵の緒(瀬尾まいこ)


僕は母さんの本当の子じゃない・・。」育生は母にへその緒を見せてほしいと頼むが、母が出してきた箱に入っていたのは、卵の殻だった。表題作「卵の緒」と「7’s blood」、2編の作品を収録。

「卵の緒」は血のつながらない母と子の物語。
血がつながらないということを、それほど深刻に考えていない母。育生自身もそのことを、悲観的には考えていない。母に愛されている。それだけで充分なのだ。実の子さえ虐待する世の中。この「卵の緒」は、家族にとって何が大切なのかを教えてくれた。
「7’s blood」は異母姉弟の物語。
姉の七子、弟の七生。一緒に住むようになり、次第に心を通わせていく姿は胸を打つ。ラストシーンは、涙が出た。どちらも家族のあり方を見直させてくれる、とても素敵な作品だった。

ゆこりん : 08:04 | 作者別・・せおまいこ