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2002年11月 8日
グッドラックららばい(平安寿子)
家出したまま帰らない母、都合の悪いことを見て見ぬふりする父、くだらないと思いながらも男に貢ぐ姉積子、立身出世ばかり夢見る妹立子。ばらばらだけれども、しっかり家族としての絆を持つ、片岡家の不思議な物語。
「典型的な現代の家庭を描ききっている。」そう言っても過言ではない。それぞれがそれぞれに好きなことをやって生きている。そのしたたかさ、図太さには感心するばかり。作者は「私の全てがつまった渾身の書き下ろし」と言っているが、私としてはもう少し、作者の思惑がこの作品の中に描かれていてほしかったと思う。そういうものが見えてくれば、この作品は単なる娯楽作品ではなくなると思うのだが。