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2002年10月31日

冷静と情熱のあいだ(辻仁成、江國香織)


ずっとこのまま一緒にいると思っていた。そんな二人に訪れた思いもよらぬ別れ。別々に歩き始めた二人だけれど、あおいの心には順正が、順正の心にはあおいが、いつも寄り添っていた。「10年前の約束を覚えているだろうか?」二人は迷いながらも、その日を見つめた。

それぞれがまるでジグソーパズルの最後の1片を求めるように、それぞれを求めている。一緒にいなければ心が満たされることは決してない。静かなる秘めた情熱。女性のあおいの立場から描いた「赤」、男性の順正の立場から描いた「青」。この二つの本が見事なまでにとけ合って、素晴らしい物語をかもし出す。こんな恋愛がしてみたいと、思わずため息が出てしまう。いつまでも心に残る素敵な作品だった。

ゆこりん : 12:43 | 作者別・・つじひとなり