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2002年10月18日

三たびの海峡(帚木蓬生)

1943(昭和18)年、河時根(ハーシグン)は17歳の時に父親のかわりに強制連行され、九州の炭鉱で働かされる。やがて終戦。彼は日本人女性と二人で故郷に帰るが、ついには別れ別れになる。そして月日が流れ半世紀が過ぎ、彼は再び朝鮮海峡を越える。三度目の海峡越え、それは釜山に届いた一通の手紙がきっかけだった・・。

強制連行、悲惨な状況下での過酷な労働、仲間の相次ぐ死。数十年の時を経てもなお残る無念の思い。架空の物語ではあるが、ここに書かれている朝鮮の人たちへの残酷なまでのむごい仕打ちは、実際にあったことだ。心に深く刻まれ決して消えることのない傷を、日本人は朝鮮の人たちにつけてしまった。胸が痛むと同時に、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。この作品は日本人なら絶対に読むべきものだ。そして歴史をしっかり見据えてほしい。

ゆこりん : 12:35 | 作者別・・ははきぎほうせい