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2002年7月19日

夏の庭(湯本香樹実)


「人が死ぬところを見たい。」少年達は一人暮らしの老人に目をつけ、観察を始める。しかし、老人は次第に元気を取り戻していく・・・。

少年達と老人の心が次第にふれあい、交流していく様が実によく描かれている。人の生と死も、作者は正面からしっかり見据えている。しかし、「死」というものを前面に押し出しすぎていると感じるところがあり、様々な人の死を経験している私は、思わず引いてしまったような場面が何度もあった。少年の心の成長だけを視点にとらえ読むのならいいが、それに「死」という問題を絡めると、どうしても抵抗があった。読む人の「死生観」で、作品の評価が違ってくるのではないだろうか。

ゆこりん : 15:06 | コメント (2) | トラックバック (1) | 作者別・・ゆ

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トラックバック時刻: 2005年10月30日 07:58


コメント

ゆこりんさん,こんにちは。

「死生観」によって受け取り方が違うという言葉に
なるほどなぁと思いました。
わたしはこの主人公たちとあまり変わらないレベル
なので…
直視してこなかった,直視したくなかったところです。
でもこれからしっかり考えたいなと思いました。

投稿者 mamimix : 2005年10月30日 08:00

>mamimixさん
私は中学3年生のときに父を亡くしました。
父は38歳でした。その突然の死は、私の死生観を
変えてしまいました。
9歳で突然逝ってしまったいとこもいます。
だからこの作品を読んだときに、抵抗を感じたんです。
その人その人で、同じ作品を読んでも感じ方が
違うものですね~。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2005年10月30日 13:40