« 無明の蝶(出久根達郎) | メイン | レイクサイド(東野圭吾) »

2002年6月28日

あかんべえ(宮部みゆき)


大病を患い生死の境をさまよったりんは、ようやく元気になる。しかし元気になったりんが見たのは、両親が始めたばかりの料理屋「ふね屋」に住み着いている幽霊たちだった。

りんを取り巻く様々な生きている人間、死んでいる人間。その中でりんは少しずつ心の成長を遂げる。りんがいろいろな人たちのいろいろな思いを受け止め、理解することが出来た時、幽霊たちは自分が本当にいるべきところへと旅立っていく・・・。りんと、幽霊を含む周りの人たちとの心の交流が、実に見事に描かれている。人々の様々な思いのからみ合い、その歯車が狂った時、人は亡者となるのかもしれない。人の心の内面をじっと見つめながら描いた、そんな感じがする作品だった。読み終わった後、心がほんわか温かくなった。

ゆこりん : 07:54 | 作者別・・みやべみゆき