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2012年4月19日

ヒア・カムズ・ザ・サン(有川浩)


出版社で働く真也には不思議な能力があった。それは、品物や場所に残された人の記憶や想いを感じ取ることができるものだった。ある日彼は、20年ぶりに帰国するという同僚のカオルの父を迎えるために空港に向う。そこで彼が感じ取ったことは・・・。2編を収録。

ひとつの発想から、まったく違う物語が紡ぎ出されている。それはとても興味深いことなのだが、いまひとつ感動にかける。ありふれた物語、ありふれた感動場面。どこか白々しさを感じてしまう。ぎこちなさ。不自然さ。読んでいてもどこかにそういうものも感じてしまう。人物像も現実味に欠け、共感できるには至らなかった。のめり込みづらい作品だと思う。前半の作品よりも、後半の作品により強くそういう感じを抱いた。今まで読んだ有川作品には感じられなかったものだ。最初にテーマを与えられてから描かれた作品だからなのだろうか?とはいえ、どちらも父親の娘に対する愛情や、人が人を想う心はよく表現されていたと思う。読後感は悪くなかった。

ゆこりん : 19:54 | 作者別・・ありかわひろ