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2012年3月28日

誰かが足りない(宮下奈都)


レストラン「ハライ」。小さな店だけれど、人々のあこがれの店だ。
「ハライへ行き食事をしよう。」
そう思うさまざまな人たちのエピソード6編を収録。

人は、どんな気持ちのときにレストランで食事をしようと思うだろうか。うれしいとき、悲しいとき、思い出に浸りたいとき、未来に希望をつなげたいとき、心豊かになりたいとき、そして、愛する人と楽しい時間を過ごしたいとき・・・。
この作品に登場する人たちの置かれている状況は千差万別だ。けれど、彼らはひとつの店をめざす。同じ日に予約を入れる。みんな、どんな顔で「ハライ」を訪れるのだろう。どんな事情で訪れるにせよ、「ハライ」の料理を食べたらみんな幸せな気持ちになれるのではないだろうか。ほんのひとときでも幸せな気持ちになれたなら、その後の人生により希望が持てるのではないだろうか?「ハライ」にはそんな力があるような気がしてしまう。「ちょっと人生に疲れたときに読むと力を与えてくれる。」そんな感じの、心温まる作品だと思う。

ゆこりん : 16:40 | 作者別・・み他