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2011年8月23日

負けるのは美しく(児玉清)


最初から俳優を志していたわけではない。それなのに、俳優になってしまった・・・。児玉清が、俳優になったきっかけ、俳優を一生の職業にしようと彼に決心させたできごと、そして自分自身の結婚、最愛の娘さんのことなどを綴ったエッセイ集。

児玉清。彼が俳優になったのは、実にユニークなできごとが重なったからだった。「人の運命というのは、いつ何時どんなきっかけで変わるか分からない。」その典型的な例ではないだろうか。駈け出しの頃のエピソードも実に興味深かった。画面からでは分からない裏側に、たくさんのドロドロとした人間関係や感情のもつれなどがあったのには驚かされた。この本の中には書かれていない苦労も、多々あったと思う。結婚のエピソードは面白かった。「縁」。この言葉をあらためて思った。最愛の娘さんを亡くした描写は、読んでいてとてもつらかった。このことが、彼にどれほどの多大なダメージを与えたことか・・・。
彼の人柄を感じることができ、また人間「児玉清」を知ることができる、貴重な作品だった。

ゆこりん : 20:26 | 作者別・・こだまきよし